#0010『Eagles/イーグルス・デビュー』 Eagles


 デビュー以前に Linda Ronstadt のバック・バンドとして既に活躍していた。

※当ブログではバンド名の日本語表記を「イーグル」としております(^^)


 イーグルズは1971年8月にロサンゼルスで結成されました。ウェスト・コースト・サウンドと称されるイーグルズですが、メンバーの出身地は・・・・

  •  Glenn Frey (g, vo) はミシガン州デトロイト
  •  Don Henley (ds, vo) はテキサス州ギルマー
  •  Bernie Leadon (g, vo) はミネソタ州ミネアポリス
  •  Randy Meisner (b, vo) はネブラスカ州スコッツブラフ

の出身で、西海岸とは縁もゆかりもない地域で生まれ育っていたんですね(^^)

 彼らは、当時リンダ・ロンシュタットのプロデューサーだった John Boylan に、彼女のバック・バンドに参加するように要請されて集まりました。そのバック・バンドとしての活躍で手ごたえを感じた彼らは、自分たちでもロック・グループとして活動しようと決めました。

 イーグルズというバンド名は、The Byrds を意識して付けられたようです。バーニー・レドンThe Flying Burrito Brothers でかつてのバーズのメンバーたちと一緒に活動していたのです。

 さて、彼らのデビュー・アルバムは1972年の初夏にリリースされました。当時の邦題は『イーグルス・デビュー』でしたが、何度目かの再発売から『イーグルス・ファースト』に変わっています。

 デビュー盤のプロデューサーは、The Steve Miller BandThe Rolling StonesThe Who などを手掛けた Glyn Johns。全10曲のうち、メンバーたちのオリジナル作品が多くを占めています。残りは Jackson BrowneJack Tempchin の曲。

 サウンドはナッシュヴィル録音だったリンダ・ロンシュタットのアルバムの影響か、カントリー・ロックの色合いも強く感じられます。しかし同時に、爽やかなコーラスワークに彩られたウェスト・コースト・サウンドの特徴が随所に見られるのも事実です。


Side-A
  1 Take It Easy (1972 - 全米12位)
  2 Witchy Woman/魔女のささやき (1972 - 全米9位)
  3 Chug All Night
  4 Most Of Us Are Sad/哀しみの我等
  5 Nightingale/ナイチンゲールの歌


Side-B
  1 Train Leaves Here This Morning/今朝発つ列車
  2 Take The Devil
  3 Earlybird/早起き鳥
  4 Peaceful Easy Feeling (1973 - 全米22位)
  5 Tryin'

 A-1 「テイク・イット・イージー」はこの1曲でイーグルスの名を知らしめたと言っても良いシグニチャー・ソング。リード・ヴォーカルはグレン・フライで、彼がジャクソン・ブラウンの曲に歌詞を付け足して完成させた、実に軽やかで爽やかな曲。もともとジャクソン・ブラウンは自分のファースト・アルバム用にこの曲を書いていたのですが、グレン・フライがあまりにも気に入ってしまったのでイーグルズに提供したのだとか。

 結果的にこの曲はイーグルスのデビュー・シングルとなり、ビルボード・ホット100で最高12位とまずまずの順位を記録し、45年以上経った現在に至るまで彼らの代表曲であり続けています。

 A-2 「魔女のささやき」はドン・ヘンリーとバーニー・レドンの共作曲。リード・ヴォーカルはドン・ヘンリーで、彼のソウルフルな声はこういうミステリアスでヘヴィなロック曲によく似合いますね。この曲で歌われている女性はリンダ・ロンシュタットだという噂もあるようですが、真偽はいかがなものでしょうか。

 「魔女のささやき」はセカンド・シングルとしてカットされ、ビルボード・ホット100で最高9位を記録し、初の全米トップ10ヒットとなりました。バンドのその後の人気を考えると、「テイク・イット・イージー」一発で終わらずに、この曲が続いたことはとても大きかったと思います。

 A-3 「チャグ・オール・ナイト」はギター・ドリヴンのイントロから始まる小気味よいテンポのロック・ナンバー。ちょっと泥臭いイカしたギター・ソロも聞かれるバックに乗せて作者のグレン・フライが歌います。

 A-4 「哀しみの我等」はカントリー色の強いミドル・ナンバー。作者はグレン・フライですが、作風は Richie Furay あたりのバラードを思わせます。リード・ヴォーカルはランディ・マイズナーの優しい声。

 「♪ 私たちはほとんどみな悲しい思いをしているのに、誰もそれを人に見せたりしない・・・・」。だからこそ必要なのが “テイク・イット・イージー” の精神なのでしょう。

 A-5 「ナイチンゲールの歌」はふたたびジャクソン・ブラウンの書いたアップ・ナンバー。ドン・ヘンリーが適度に乾いたヴォーカルを聞かせてくれます。A面では「テイク・イット・イージー」と並んでウェスト・コーストを感じる曲です。

 レコードをひっくり返し B-1 「今朝発つ列車」へ。この曲はアコースティック・ギターの響きが素敵なカントリー・バラード。リード・ヴォーカルはバーニー・レドン。バーズのオリジナル・メンバーだった Gene Clark とバーニー・レドンの共作です。こういうノンビリした曲を聴いていると精神が癒される気がしますね。

 B-2 「テイク・ザ・デヴィル」はランディ・マイズナーの曲で彼が自ら歌っています。アコースティック・ギターがメインのファースト・パートに、パワフルなベースラインとエレクトリック・ギターが入ってくるセカンド・パートが続く起伏に富んだ曲ですね。この曲はアルバム中で、いやひょっとするとイーグルズというバンド史上で、最も「ロック・バンドとしての気概」のようなものを感じさせてくれます。

 B-3 「早起き鳥」はバーニー・レドンとランディ・マイズナーの共作。イントロの鳥のさえずりからマンドリンの細やかなプレイが印象的です。そこに入ってくるヴォーカルはバーニー・レドン。コーラス間ではリード・ギターが力強いフレーズを演奏します。間奏部ではギター・ソロと合わせてふたたび鳥のさえずりが! ちょっぴりエキゾチックなユニークな曲です。

 B-4 「ピースフル・イージー・フィーリング」はジャック・テンプチンの曲。のどかなカントリー・フレイヴァーのアコースティック・ギターに乗せてグレン・フライが歌っているのですが、ちょっと無造作な感じがかえって素敵です。サード・シングルになったこの曲は、ビルボード・ホット100で最高22位を記録しています。

 ラストを締める「トライン」はパワフルなエレクトリック・ギターのイントロが印象的なランディ・マイズナー作品。リード・ヴォーカルも彼ですが、この曲に関しては他の3人のうちの誰かに歌わせた方がよかったのではないでしょうか。ランディ・マイズナーの声は「優しくて細い」のでバックの力強さに負けてしまっている気がするのです。グレン・フライのように「優しくて力強い」声の方が似つかわしいかも。





 デビュー当時から大型新人バンドと目されていたイーグルズですから、他の新人アーティストとは同列には置けないのだろうな、と思います。しかしそれだけに当時の彼らにのしかかったプレッシャーも重かったはず。

 イーグルズが70年代を通じてクォリティの高さとセールスの好調さを両立させることができたのは、このファースト・アルバムが成功し、プレッシャーをはねのけることができて自信につながったからではないかと感じています。

6コメント

  • 1000 / 1000

  • gutch15

    2019.09.23 14:14

    @anasatoやはり初々しさがあって、聴いていて思わず微笑んでしまうアルバムです。それぞれの曲が進化して将来のヒット曲になったというのは言い過ぎかもしれませんが、間違いなくいくつかの原石が転がっていますね!
  • anasato

    2019.09.23 14:02

    久しぶりに聴きましたが、いいですね~このファーストも。ポップで爽やかな曲や、ヘヴィーなロック、まったりしたカントリーや、甘く切ないバラードがバランス良く並んでますよね。
  • gutch15

    2019.09.23 03:14

    @sgtbeatlesまだまだカントリーっぽさがあって、初期の戸惑いのようなものも感じますね。ヘヴィな「トライン」、後の「呪われた夜」を予感させる「魔女のささやき」などが、大物への成長を示唆しています!

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