一発で気に入ったデビュー・アルバム。
ふと気がつくと、1990年代のUKモノをアップしていないような。。。
そこで今日は90年代アシッド・ジャズの名盤、ジャミロクワイのデビュー・アルバム『ジャミロクワイ』を取り上げましょう。
アシッド・ジャズという分野もかなり幅広いもので、もともとはレーベル名だったものがいつしかある種のサウンドを指すようになった言葉。大ざっぱには、クールなキーボードを多用したヴォーカル&インストゥルメンタル・グループが演奏している曲といった感じですが、私にとっては70年代の空気を運んでくるようなけっこう懐かしさが感じられるサウンドだったりします。
ジャミロクワイの中心人物はヴォーカリストで曲作りも担当している Jason "Jay" Kay で、きっと70年代のファンクやディスコが大好きだったんだろうなぁ、と想像がつきます。
当初は本国イギリスのみで爆発的な人気となりました。このアルバムが全英NO.1になった時もアメリカや日本では完全に出遅れていました。ですから輸入盤屋で買うしかなかったわけですが、さすがは日本の洋楽ファン、輸入盤ショップではかなりの売れ行きだったと思います。
Tr-01 When You Gonna Learn (Digeridoo)/いつになったら気づくんだい (1992 - 全英52位、1993 - 全英28位)
02 Too Young To Die/死ぬには早すぎる (1993 - 全英10位)
03 Hooked Up04 If I Like It, I Do It/僕が好きなら、僕はやる
05 Music Of The Mind
06 Emergency On Planet Earth/地球は緊急事態 (1993 - 全英32位)
07 Whatever It Is, I Just Can't Stop/それが何でも、僕は止められない
08 Blow Your Mind (1993 - 全英12位)
09 Revolution 1993/革命、1993
10 Didgin' Out
オープニングを飾る「いつになったら気づくんだい」は彼らのデビューシングルです。ホーンもストリングスも入ったかなりクールなサウンドで、敢えてやっていると思うんですが、エッジを甘くしたミックスでちょっとこもったような音にしています。これはアルバム全体にも言えることですね。
この曲は最初は92年に Acid Jazz レーベルからリリースされました。この時点ではさほど話題にもならずUKチャートでも最高52位で終わりました。その後、他のシングルを間に挟んで93年に Sony から再リリースされ、今度は28位まで上がりました。その頃はデビューアルバムがかなりのヒットになっており、上記のように日本でも輸入盤ショップでけっこう売れていたということです。
「いつになったら気づくんだい」というタイトルは何のことを言っているのか? 意外に真面目な環境問題に対するメッセージなんです。
サブタイトルに付けられている「Digeridoo」というのは木管楽器の一種でオーストラリアの民族音楽で使われるものだとか。独特の音がエキゾティックで心地良いですね。
Tr-02 「死ぬには早すぎる」は初の大ヒットになったセカンドシングルで、UKチャートではトップ10入りを果たしています。やはりクールなストリングスから入りますが、たちまちよく動くファンキーなベースラインに耳を奪われます。サビの部分の「ドゥ~ドゥッドゥドゥ・ドゥッドゥ」は強烈なフックで、ヒットの決め手になったフレーズと言えるでしょう。
歌詞には「戦争で死にたくない。政治的に謀殺されたくない」というメッセージが!
Tr-03 「フックト・アップ」はパーカッションの派手な音にリードされるダンス・ナンバー。各楽器のリフに加えてかなり即興的なフレーズも入っています。こういうスカスカの音はいかにもアシッド・ジャズという感じですが、思えば70年代の B.T. Express とかもかなりスカスカでしたよね。
Tr-04 「僕が好きなら、僕はやる」はかなり速めのビートのロック色の強いナンバー。イントロからAメロはほのぼのした雰囲気さえ漂いますが、サビメロからにわかに緊張感が増しますね。私には90年代のブラスロックに聞こえます。
Tr-05 「ミュージック・オブ・ザ・マインド」はメロウな始まり方をするインストナンバー。ベースラインは波のようなグルーヴ感を醸しだし、キーボードにしっかりと支えられてストリングスがメロディを奏でます。2分過ぎにテンポを倍速に上げるとあとは一直線に走り出します。このパートではちょっとチープなホーンセクションも良い味を出していますね。5分過ぎには6拍子にテンポを変えてコーダへ。ナイス・フュージョン🎵
Tr-06 「地球は緊急事態」はアルバムの原題タイトル曲。4枚目のシングルになってUKチャートで最高32位を記録。「いつになったら気づくんだい」と同様に環境破壊に対する強い警告の歌です。ジェイ・ケイの作る曲にはこういった環境問題に対する高い意識が感じられるものが多々あります。アメリカではダンスフロアで人気が出て、初めてダンス・チャートに入りました。
Tr-07 「それが何でも、僕は止められない」もかなりレトロなサウンド。強いベースラインに乗るファンキーな、時に歪んだ音で演奏されるギターのリフが耳に残ります。
Tr-08 「ブロウ・ユア・マインド」は8分半続く大作。ヒップホップでサンプリングに使われそうなベースのリフにド派手なホーンセクションの活躍が印象的。4分半でいったん流れが途切れてインストの後半が始まりますが、同じベースラインに乗ってキーボード・ソロが続きます。ジャムってる感じでカッコイイ🎵
見事なファンクナンバーであるこの曲は3枚目のシングルとなって全英12位まで上がりました。
Tr-09は「革命、1993」。今度は10分を超える大作です。実はこれら2曲以外も延々続いている完全版からカットして短く編集されて収録されている曲がたくさんあるんですけどね。
パーカッションが刻む速いテンポに2小節のコードが繰り返されるベースライン。作りはいたってシンプルに聞こえます。ギターの音などは70年代前半の香りがするし、ストリングスセクションもホーンも妙に歌謡曲してるように感じられます。全体としてはリズム帯重視です。リズムに身を任せて、曲の中に沈み込んでいくのがイイ🎵
ラストを締める「ディッジン・アウト」はインスト・ナンバー。1曲目以上に目立つ使われ方のディジェリドゥーという楽器。「ディジェリドゥーを使ったアウトロ」という意味のタイトルなんですね。
4コメント
2020.01.16 13:02
2020.01.16 08:09
2020.01.15 13:59