マドンナの有力な対抗馬だった。
レジーナこと Regina Richards はニューヨークはブルックリン出身のクラブ系シンガー・ソングライターです。
彼女は1980年代の頭にいったん Regina Richards and Red Hot というグループでデビューしたもののほとんど注目は集まらず、その後数年間は下積み生活を余儀なくされました。
80年代中盤のクラブダンスシーンは、Madonna は台頭していました。第二のマドンナを目指して数多くのダンス&クラブ・ミュージック系女性シンガーがデビューしましたが、その中でも最も有力な対抗馬の一人がこのレジーナだったと言えます。
「マドンナ」は「聖母マリア」のこと。一方、「リジャイナ」とは「女王様」のこと。名前でも負けず劣らずの二人ですが、両者ともステージのための芸名ではなく、それぞれが本名だというのも畏れ入るところですね(^^)
Breakfast Club の Stephen Bray と組んで仕事をしているのもマドンナとの共通点になります。このアルバムでも2曲共作しており、将来が嘱望されていたところですが、結果的には「愛しの一発屋」になってしまいました。
Side-A
1 Sentimental Love
2 Beat Of Love
3 Say Goodbye
4 Baby Love (1986 - 全米10位)
Side-B
1 Head On
2 Love Time
3 Bring Me All Your Love
4 Curiosity
5 Just Like You
幕開けはダンス・ビートに乗った「センティメンタル・ラヴ」から。マイナーなメロディに麗しのストリングスが良い雰囲気です。途中の Ira Siegel によるギター・ソロは、ロックっぽい力強さを感じさせます。
A-2 「ビート・オブ・ラヴ」は「ポスト・マドンナ宣言」のような曲。ポップなダンスビートに乗って軽やかに歌います。サビのコーラスワークは抜群に良いセンスだと思います。ギター・ソロはレジーナ自らの演奏で、シンガーとソングライターだけでなくプレイヤーとしての一面も見せてくれます。
A-3 「セイ・グッドバイ」はポップなバラード・ナンバー。ストリングスの響きも好きですが、サックスの音色もとてもイイ雰囲気です。アダルト・コンテンポラリーでヒットしそうなポテンシャルを持っていますね。
A-4 「ベイビー・ラヴ」は彼女の唯一のヒット曲。スティーヴン・ブレイとの共作で、もともとはマドンナに提供しようとした曲だったのですが、聖母様のお気に召さずボツになったため、自分で歌っちゃおうということになった次第。そしてその曲をシングル・カットしたらビルボード・ホット100でトップ10入りしてしまったんですね!
弾むダンス・ビートにひとくせあるメロディが魅力的です。キーボードにスティーヴン・ブレイ、サックスには David Sanborn が参加しており、バック・コーラスには Siedah Garret の名前も見えます。
私の好みにかなり合う曲なので一押しにしておきましょう!
12"シングルのロング・ヴァージョンは聴き応え満点ですよ🎵
レコードをひっくり返すと、実に Madonna-Like な「ヘッド・オン」が流れ出します。キラキラ光るダンス・ビートにホーン・セクションが艶やかです。ポイントとなっているサックス・ソロは Jeff Smith。
B-2 「ラヴ・タイム」はふたたびスティーヴン・ブレイとの共作曲。せわしないくらいの快速アップビートが特徴で、Aメロのホーン・アンサンブルがカッコイイです。サビは男声とのデュエット仕立てになっていて、新しい空気を感じる曲となっています。
B-3 「ブリング・ミー・オール・ユア・ラヴ」はユーロビート風味のダンス・ナンバー。80年代はアメリカのクラブシーンでもユーロビートの人気が上がっていました。サウンドとしては打ち込み色が強いですが、ヴォーカルが飛び出したミックスが気持ちいいです。
B-4はタイトル・ナンバーの「キュリオシティ」。イントロのキーボードが何とも楽しげで聴いている方も心がウキウキしてきちゃいますね。スネアの音は別録のサンプリングのようです。
ラストは「ジャスト・ライク・ユー」。リズムパターンが KC & The Sunshine Band の 「ブギ・シューズ」と似ています。音が下がってくるパターンのベースラインがリピートされます。そのベースは打ち込みではなく Peter Zagare が弾いています。
2コメント
2019.12.31 14:22
2019.12.31 11:13