Jeff Beck Group と Faces のはざま。
ロッド・スチュワートのファースト・ソロ・アルバムは、ジェフ・ベック・グループからフェイセズに移る合間の1969年にリリースされました。
アメリカでは『The Rod Stewart Album』というタイトルで出されたこのアルバム、本国イギリスでのタイトルは『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』でした。
バックを固めているのは素晴らしき同僚たち。
- Ian McLagan (p, organ)
- Martin Pugh (g)
- Martin Quittenton (g)
- Micky Waller (ds)
- Ron Wood (g, b)
- Mike d'Abo (p)
- Keith Emerson (organ)
- Lou Reizner (vo)
全8曲中5曲は、ロッド・スチュワート自らのペンによる作品。ソングライターとして、ヴォーカリストとして既に一つの世界を確立しています。
Tr-01 Street Fighting Man
02 Man Of Constant Sorrow/いつも悲しい男
03 Blind Prayer/盲目の祈り
04 Handbags & Gladrags/ハンドバッグと外出着 (1972 - 全米42位)
05 An Old Raincoat Won't Even Let You Down/オールド・レインコート
06 I Wouldn't Ever Change A Thing/君だけを
07 Cindy's Lament/シンディーの嘆き
08 Dirty Old Town
まずは The Rolling Stones のカヴァー曲「ストリート・ファイティング・マン」からスタートです。つまびくアコースティック・ギターのリフから始まって、基本的な8ビートにメロディが乗っていきます。途中のピアノが主役に躍り出るあたりからジャムっているのがカッコイイですね。
Tr-02 「いつも悲しい男」はアメリカのフォークソングをロッドが焼き直しした曲。出だしのアコースティック・ギターの憂いのある響きがたまりません。このギターはロッドが自ら弾いています。カントリーロック風に仕上げていますね。
Tr-03 「盲目の祈り」はロッド・スチュワート自作のブルーズ・ナンバー。独特のしゃがれた声、時に語るような、時に絶叫するような唱法を織り込むヴォーカル・スタイルはもうこの頃から確立されていたんですね。
Tr-04 「ハンドバッグと外出着」はマイク・ダボの書いたスロー・バラード。ピアノもマイク・ダボが演奏しています。リリカルな木管パートが入ったオーケストラ・アレンジも彼によるものです。こんなスローなナンバーも入っているところがロッド・スチュワートのソロ・アルバムの素晴らしいところだと思うんです。こういったタイプの曲はそれまでのグループでは演っていなかったですよね。
「ハンドバッグと外出着」は72年になってからシングル・カットされ、全米ではビルボード・ホット100で最高42位を記録しています。
Tr-05 「オールド・レインコート」はブルース色の強いアップ・ナンバー。Sam Cooke あたりに影響されて書いた曲じゃないかな。ロッド・スチュワートが浸って育ってきたブラック・ミュージックというルーツを感じさせる曲です。
Tr-06 「君だけを」はイアン・マクレガンのピアノとキース・エマーソンのオルガンが素敵なアンサンブルを聞かせてくれるナンバー。途中から突如ヴォーカルに加わってロッド・スチュワートと掛け合いを演じているのは、プロデューサーの Lou Reizner です。彼のつやのある声はロッド・スチュワートのハスキー・ヴォイスとは対照的で、なかなか良いバランスだと思いますね。
Tr-07 「シンディーの嘆き」は印象的なリフが繰り返されるリズム重視のナンバー。最初はキーボードで次にギターでこのフレーズがリピートされます。このもたれるようなファンクはやはりロッド・スチュワート自身が書いた曲です。
ラストを飾るのはアコースティック・ギターをバックに歌われるバラード・ナンバー「ダーティ・オールド・タウン」。Ewan McColl という古いフォーク・シンガーの作品で、他にもさまざまなアーティストたちがカヴァーしています。古い工業の街を歌った曲のようです。なんだか寂れた街の様子が浮かんでくる気がしますね。
4コメント
2019.11.12 14:42
2019.11.12 14:32
2019.11.11 22:39