#0030『Emerson, Lake & Palmer』 Emerson, Lake & Palmer


 伝説のプログレッシヴ・ロック・トリオのデビュー作。

 プログレッシヴ・ロックというと真っ先に思い浮かぶアーティストがいくつかあります。私にとっては YesPink Floyd、そしてELPなんです。次の段階で RenaissanceThe Moody BluesThe Alan Parsons ProjectGenesisCamel あたりが浮かんできます。

 今朝はエマーソン、レイク&パーマーのデビュー作『エマーソン、レイク&パーマー』を聴いてみましょう!

 元 The NiceKeith Emerson (p, key, synth)、元 King CrimsonGreg Lake (vo, g, b)、元 Atomic RoosterCarl Palmer (ds, perc) が組んだいわばスーパー・グループとしてスタートしたELPがレコーディングに入ったのは1970年、ロンドンのスタジオに於いてでした。

 当初はずっとバンド活動を続ける意思はなく一時的なセッションのようなつもりでレコーディングしたのだそうですが、このメンバーでのレコーディングが話題にならないはずはなく、『エマーソン、レイク&パーマー』は英米でそれぞれヒットしました。日本ではこのアルバムの段階ではさほど話題にならず、次の『タルカス』あたりから急に大人気になりましたね。

 アルバムの出来はかなり先進的でクォリティが高いものです。ジャズやクラシックの要素も交えたキース・エマーソンのピアノ、キーボード演奏に代表されるように、まさにプログレッシヴ・ロックの名に相応しい作品だと思います。

 プロデュースはグレッグ・レイク、曲のアレンジは3人の共同作業です。どの作品もインテリジェンスにあふれつつ、エンターテインメントとしても間違いなく親しめるクォリティを保っているのが素晴らしい!


Side-A
  1 The Barbarian/未開人
  2 Take A Pebble/石をとれ
  3 Knife-Edge


Side-B
  1 The Three Fates/運命の三人の女神

  2 Tank

  3 Lucky Man (1971 - 全米48位、1973 - 全米51位)


 重量感のあるイントロから始まる「未開人」で幕開けです。バルトークのピアノ曲を3人でアレンジしたインスト曲で、ヘヴィなサウンドは「まずは自分たちはロックなんだと分かってくれ」と訴えているようです。ピアノはクラシカルな指使いで駆けめぐり、当時のロックで多用されたオルガンが時代を感じさせますね。

 A-2 「石をとれ」はグレッグ・レイク作の12分半にわたる壮大なナンバー。最初のパートは彼のヴォーカルが印象深く響くバラードになっています。次にキース・エマーソンのピアノとカール・パーマーのドラムスが夢のような共演を聞かせるパートから、グレッグ・レイクのアコースティック・ギターが中心の田舎のお祭りのようなパートへと移ります。続いて曲のハイライトだと言えるキース・エマーソンのピアノ・ソロ・パート! ここは素晴らし過ぎて、もうただただ聴き入ってしまいます。途中で Johann Sebastian Bach (JS・バッハ) のインヴェンションのようなフレーズが聞こえ、キース・エマーソンのクラシックの素養が見えてくるんですよね~♪ ドラムスとベースが加わると今度はジャジーな世界。ラストでヴォーカル・バラードに戻ってお終いです。一押し♪

 A面の最後「ナイフ・エッジ」でまたヘヴィな音に戻ります。冒頭のベースのリフが曲全体を支配している感じ。ヴォーカルがそのリフをベースとユニゾンしたり、ヴォーカルと交代でオルガンがそのフレーズをなぞったり、とにかくリフが強い曲です。中盤のオルガン・ソロはまたまたJS・バッハを彷彿とさせますね。エンディングはちょっとオーヴァー・アレンジな気もしますが、プログレの宿命か!?(^^)

 レコードをひっくり返すと3楽章から成る組曲形式の「運命の三人の女神」が始まります。第1楽章「Clotho」は荘厳なパイプ・オルガンによる演奏で、重々しい運命を表現しているようです。第2楽章「Lachesis」は一転、流麗なピアノ・ソロです。クラシックのピアノ・ライヴを聴いているようですね。パイプ・オルガンをつなぎにしてから第3楽章「Atropos」に入ります。なんと7拍子の難度の高い曲! よく聴くとピアノ1台ではありません。多重録音によるピアノ・トリオになっているんですね~! かなりの迫力を感じさせながらのエンディングです。ほぼキース・エマーソンのソロという感じですね。

 B-2 「タンク」はキース・エマーソンとカール・パーマーの共作曲で、まず冒頭のクラヴィネットが印象に残ります。ハイライトは中盤のドラム・ソロで、カール・パーマーのここ一番の見せ場となっていますね。後半はロック・バンドらしいリフにキーキー言っているシンセサイザー・ソロが乗って行きます。シンセのソロはちょっと冗長。

 ラストを飾る「ラッキー・マン」はグレッグ・レイク作のポップ・ロックで、シングル・ヒットを記録した曲です。アコースティック・ギターもエコーの利いたコーラスワークもたっぷり楽しめて、ラストでは名高いシンセサイザー・ソロも出てきます! 素晴らしいミドル・バラードだと思うのですが、このシングルを聴いてアルバムを買った人は、きっと目を白黒とさせたことでしょうね(^^)






 『エマーソン、レイク&パーマー』はかなり意欲的で、その分風変わりな一面もありますが、それがかなり話題になって売れたというのが素晴らしいのです。そしてこの作品は、私には、ある種の高潔さをまとっているように感じられるのです。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • gutch15

    2019.10.27 12:45

    @気ままにアリスの方は全然知らないんですが、似ているジャケだったんですね。凄腕3人組という点でも似ているかも(^^;)
  • 気ままに

    2019.10.27 11:59

    このジャケ観たとき、アリス(邦楽)の4枚目?とよく似てるなぁが第1印象、中の音はまったく違うけどね。最近久々に聴いたばかり。

自由人 Gutch15 の気まぐれライフ from 横浜

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