#0026 愛しの一発屋(001):「Green Tambourine」 The Lemon Pipers


 サイケなバブルガム・ポップが懐かしい。

 今朝は当ブログの新ジャンル、『愛しの一発屋シリーズ』を始めます。

 『一発屋』というとヒット曲が少ないアーティストを揶揄しているように聞こえるかもしれませんが、決してそのようなつもりはありません。英語で「One Hit Wonder」と呼ばれるこのジャンルにはちゃんとした定義があり、その定義に当てはまるアーティストのことを『一発屋』と呼ぶという、あくまでもヒットチャートのデータ上の呼称なのです。

 それでは当ブログに於ける『一発屋』の定義を確認しておきましょう。


『一発屋』とは、

  ① 全米チャート(ビルボード・ホット100)を基準とし、

  ② そのアーティストのシングルが1曲トップ40入りをしていて、

  ③ その他の曲は一切トップ40入りしていない

アーティストを指します。

※臨時で組まれたスーパー・グループは『一発屋』の部類には入れていません。したがって「We Are The World」をヒットさせた USA For Africa は『一発屋』にはなりません。


 したがって、ビルボード・ホット100に入りなおかつトップ40入りしたヒット曲が1曲しかないアーティストも『一発屋』であり、またトップ40ヒットが1曲でその他に最高41位の曲が50曲あるアーティストもまた『一発屋』になります。それらのアーティストのうち、「どちらがより一発屋っぽいか?」と問われれば、答えは間違いなく前者ですが、ともあれ当ブログの定義では両者とも『一発屋』のカテゴリに入るということです。



 さて、それでは『愛しの一発屋』の一発目をお送りしましょう。ビルボード・ホット100で1968年2月3日付のNO.1に輝いたレモン・パイパーズの「グリーン・タンブリン」がその曲であります!

 レモン・パイパーズは60年代半ばにオハイオ州で結成されたサイケデリックなポップロック・バンドでした。66年~67年にかけてシングルをリリースしましたが、まったくヒットせず散々な結果に終わった彼らに対して、当時所属していた Buddah レコードが「次は会社が用意したバブルガム・ポップを録音せよ」と指令を出したのです。

 彼らはその指示に従い、Brill Building で活動していた Rochelle "Shelley" Pinz が作詞し、プロデューサーの Paul Leka が作曲した「グリーン・タンブリン」をレコーディングしたのでした。

 このレコーディングは不承不承だったといいます。メンバーはもうちょっと骨のあるロックやサイケなロックを演りたかったのでしょう。しかし曲を紹介したポール・レカが「この曲を演らないともう君たちに先はない」と説得し、ようやくレコーディングにこぎつけたのだとか。アレンジにちょっぴりサイケな風味が感じられるのは、ポール・レカがメンバーに気を遣ったのかもしれませんね。

 かくしてブッダ・レーベルにとって初の全米NO.1ヒット「グリーン・タンブリン」が生まれました。同時に、この曲は初めて全米1位を取ったバブルガム・ポップだとも言われています。

 「緑色のタンバリンって何?」ってなりますよね。これはイギリスのストリート・ミュージシャンが、通りすがりのお客さんたちからおひねりをもらう容器に緑色のタンバリンを使っていたという話から発想されたアイデアなんだそうです。ちょっと微笑ましい(^^)




 レモン・パイパーズはその後2曲のシングルがビルボード・ホット100に入りましたが、トップ40に戻ってくることはありませんでした。そして彼らは69年にひっそりと解散してしまいました。

4コメント

  • 1000 / 1000

  • gutch15

    2019.10.18 15:17

    @anasato60年代サイケと言えば英米双方で流行りましたよね。ストロベリー・フィールズも外せないでしょうね~(^^)
  • gutch15

    2019.10.18 15:14

    @Mermanメロディやビートはバブルガム・ポップ、アレンジがちょいとサイケな感じですね。本格的なサイケはもっと瞑想的です(^^) 必ずしも自分たちがやりたいことが認められるわけではないという厳しさ、そんな世界で全米1位を取ったのですから立派ですね!
  • anasato

    2019.10.18 13:47

    ストロベリーズ・フォーエバーな感じですよね〜。

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