#0016『Rocka Rolla』 Judas Priest


 マイナー・レーベルから出されたデビュー・アルバム。

 オリジナル・カヴァーはこちら。

 のちに「ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの雄」となるジューダス・プリーストのデビュー・アルバムがこの『ロッカ・ローラ』でした。オリジナル・ジャケット・アートを見れば分かるように、“コッカ・コーラ” の冗談だったんですね(><)

 リリース元レーベルはイギリスの Gull というところで、どうやらプログレ系のマイナー・レーベルだったようです。その影響なのか中には組曲のような形式の長尺曲もあったりして、まだ方向性を模索中だったことがうかがえますね。

 メンバーは K.K.Downing (g)、Rob Halford (vo)、Ian Hill (b)、John Hinch (ds)、Glenn Tipton (g, synth) の5人でした。発売当時はまったく話題にならず、嫌気が差したのか、早くもドラムスのジョン・ヒンチが脱退して “大・ピンチ” になってしまったというシャレにならない事態に陥っていました。

 ジューダス・プリーストは決して中途半端な気持ちでアルバムを制作したわけではないのですが、スタジオで一発録りした時にノイズが入ってしまったり、Black Sabbath を手掛けたことで知られる Rodger Bain をプロデューサーに迎えた結果、当時の力関係から選曲なども含めていいようにあしらわれてしまったりと、不運な面もあったようなのです。

 全7曲の中にはロブ・ハルフォードが加入する前に前任者だった Al Atkins が作者として名を連ねているナンバーも3曲含まれていて、まだまだバンドとしてカチッとまとまってはいなかったんだな~、と想像しています。


Tr-01 One For The Road
  02 Rocka Rolla
  03 Winter / Deep Freeze / Winter Retreat / Cheater
  04 Never Satisfied
  05 Run Of The Mill
  06 Dying To Meet You
  07 Caviar And Meths

 アルバムはハード・ボイルドなギターのリフを持つ「ワン・フォー・ザ・ロード」から始まります。このリフは5拍でループしていて、変拍子の感がありますね。これをトップに持ってくることによって、シンプルなロック・バンドでないという主張をしているように感じられます。ハード・ロック自体がけっこうクラシカルな側面を持っていることを考えると、伝統を守っているとも言えます。

 Tr-02 「ロッカ・ローラ」は先行シングル、つまり彼らのデビュー曲になったタイトル曲。生きの良いハード・ロッカーで、1分過ぎからのKK・ダウニングのギター・ソロはユニークなフレーズですよね~。その後ソロを引き継ぐハーモニカはロブ・ハルフォードの演奏です。ライヴで演ったら映えそうなカッコイイ曲です!

 Tr-03 「ウィンター/ディープ・フリーズ/ウィンター・リトリート/チーター」は組曲仕立てになっています。「ウィンター」ではシンセのフェイド・インからウィスパリング・ヴォイスでヴォーカルが入り、ハードなギターのリフとともにヴォーカルも爆発します。ドラムスから激しいギターが入ると「ディープ・フリーズ」です。いったんビート・オフし、サイケな歪んだギターを挟んで「ウィンター・リトリート」へ。しばらく狂気の叫びのようなフレーズを演じてから、メロディアスな優しいギター・インストになり、ハミングからヴォーカルも入ってきます。再びビート・オンでハードなギターのリフが聞こえると「チーター」。ロックらしいギター・ソロとハーモニカのソロも楽しめます。

 Tr-04 「ネヴァー・サティスファイド」は4拍ループのヘヴィ・ロッカー。パワフルなリフと鮮やかなソロが特徴的で、ちょっとフックを抑えた Deep Purple みたいだな~(^^) 誉め言葉になってないか! この曲はシングル「ロッカ・ローラ」のB面として収録されました。

 Tr-05 「ラン・オブ・ザ・ミル」は8分半に及ぶ長尺メタル・バラード。気を持たせるようなフェイド・インのイントロで聞こえるギターのフレーズがとても素晴らしい! 間奏部のパワフルなギターからイントロのフレーズに戻るつなぎ方もイイ線行ってますよ~。中盤からの盛り上がりではギターだけでなくシンセも大活躍していて、このあたりはいかにも大作志向という感じです。一押し♪

 Tr-06 「ダイイング・トゥ・ミート・ユー」はプログレ・ハードな曲で、Kansas あたりがやっていても馴染みそうな作風です。ところがこれは「前半」の話で、3分45秒過ぎに曲はいったん途切れて、すぐにアップテンポのハード・ロッカーが始まります。この歯切れの良い「後半」はまったく別の曲だと思いますが、表記では一続きの扱いになっています。

 Tr-07 「キャヴィア・アンド・メス」は2分強のインスト曲。アルバムのコーダとして収録されていますが、実は10分を超える長大組曲のイントロ部分なのだそうです。きっとレコード・デビュー前のライヴなどではフル・ヴァージョンを演奏していたのでしょうが、すべてを収録したレコードは発売されませんでした。





 『ロッカ・ローラ』 はそれまでのライヴで人気が高かった曲が外されてしまうなど、収録曲の選択だけを考えても、メンバーにとっては消化不良の作品だったのだろうと思います。プロデューサーを交代させて制作したセカンド・アルバムでは、その分の埋め合わせをするかのようにやりたい曲をレコーディングできたようで、いよいよ完成度が上がっていくことになりました♪

6コメント

  • 1000 / 1000

  • gutch15

    2019.09.30 14:34

    @anasatoまだまだジューダス・メタルの前夜、といった感じでしょうか。セカンドを聴く前のオードブルとしてお楽しみください(^^)
  • anasato

    2019.09.30 14:21

    このアルバム以前、聴いたことがありますが、思ったよりストレートなR&Rの印象で、ぽくない感じがしてその後聴いてません。もう1回チャレンジしてみようかな。コーラのダジャレ・ジャケットはB級感漂わせてますね~。
  • gutch15

    2019.09.30 01:29

    @sgtbeatlesおそらくはメンバーたちもノリノリだったのではないかと(爆)

自由人 Gutch15 の気まぐれライフ from 横浜

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