デビュー盤にして早くもただ者ではない。
音楽記事の4番目のネタは有力候補がたくさんあってなかなか決め切れませんでした。ようやく決定したのが『レッド・ツェッペリン登場』です。
1969年というと、私が特に注目しているロック・バンドが2つデビューした年でした。1つはレッド・ツェッペリン、もう一つが Yes です。イエスのデビュー盤が、完成度には注文が残るにしても意欲的な作品でありながらビッグ・ヒットには至らなかったのに対して、『レッド・ツェッペリン登場』は当初から話題になり、リリースから半年も経たないうちに●ゴールド・ディスクに輝きました。
おそらく当時の話題としては、The Yardbirds の第三の男、Jimmy Page が結成した新しいバンド、という切り口だったと思われます。実際に彼は “第二のヤードバーズ” を作りたくてメンバーを募集、まずは旧知のベーシスト John Paul Jones が馳せ参じました。
次にヴォーカリストですが、これが意外にも難航。Terry Reid に話を持ちかけるも先に別のグループで契約済み。続いて Steve Marriott と交渉するもやはり別の契約に縛られていて不調。そこでジミー・ペイジの知り合いのプロデューサーである Tony Secunda が紹介してくれた一人の若者が Robert Plant だったわけです。ロバートのことはたまたまテリー・リードも推薦していたらしく、これでようやくヴォーカリストが決定。
ギター、ベース、ヴォーカルがそろったところで、“第二のヤードバーズ” にはキーボードは不要でしょうから(笑)、残るはドラムスだけ。“リズムをしっかりキープできて、しかも強力なアピールを持ったドラマー” ということでロバートが推薦したのが John Bonham。“第二のヤードバーズ” という発想はあまりジョン・ボーナムには好まれなかったらしく、彼に対するかなりの説得が必要だったようですが、最終的には加入が決まりました。ジミー・ペイジはジョン・ボーナムのドラミングを聞いてすっかり度肝を抜かれ、彼こそ自分が求めていた最高のドラマーだと賛辞を惜しまなかったそうですよ。
という4人のラインナップによってレコーディングされたのが『レッド・ツェッペリン登場』でした。このアルバムには、“埋め草” や “捨て曲” のない全9曲が収録されています。
Side-A
1 Good Times Bad Times (1969 - 全米80位)
2 Babe I'm Gonna Leave You/ゴナ・リーヴ・ユー
3 You Shook Me
4 Dazed And Confused/幻惑されて
Side-B
1 Your Time Is Gonna Come/時が来たりて
2 Black Mountain Side
3 Communication Breakdown
4 I Can't Quit You Baby/君から離れられない
5 How Many More Times
記念すべき1曲目は挨拶代わりと言わんばかりのロック・ナンバー「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」。ドラムス、ベース、ギターによるイントロの “2連打” で入るところなどは心憎いほど達者で、単なる新人バンドではないところを見せていますね。3分に満たない短い曲なので、ギターのリフと間奏部のギター・ソロで一気に聞かせてしまいます。
「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は彼らのデビュー・シングルとなり、全米80位を記録しています。
A-2 「ゴナ・リーヴ・ユー」は Anne Bredon なるフォーク・シンガーの曲にジミーとロバートがアレンジを加えたナンバー。マイナー・トーンの旋律を奏でるアコースティック・ギターと、曲を一気にハードなタッチに変えてしまう凄まじいドラミングが好対照を描いています。私はこの曲の中に、将来の「Stairway To Heaven/天国への階段」の萌芽を見ていますが、皆さんはいかがでしょうか?
A-3 「ユー・シュック・ミー」でいよいよレッド・ツェッペリンが本性を現します! それはロバート・プラントの本領発揮でもあります。Willie Dixon が書いたこのブルーズのカヴァーを見事に歌いこなすことによって、レッド・ツェッペリンが単なる “第二のヤードバーズ” ではなく、また “ジミー・ペイジ + 彼のバンド” でもないということを決定づけている気がします。もちろんジミーのもたれるようなブルージーなギター・プレイも光ってますよ!
A面のラストもブルーズ・ナンバーの「幻惑されて」。本当は Jake Holmes が書いたとされる曲ですが、アルバムのクレジットではジミー作となっていますね。全体を覆うブルージーな感覚は実に説得力があります。ちょっと歪ませたギターやベースのソロなども実にブルージー。その重々しさが3分半くらいに一気に打ち破られて、ハードかつヘヴィなロック・サウンドへと早変わり。“ミスター・スローハンド” 顔負けのギター・ソロは、荒削りながらも迫力十分で、もう一度ブルーズに戻った後も、余韻として残っている感じがします。ロバートも遺憾なくヴォーカル力を発揮していて、圧巻!
B面にひっくり返すと、不要なはずのキーボード(笑)、いやオルガンのイントロが聞こえてきます。ジョン・ポール・ジョーンズが演奏するこの厳かなイントロが「時が来たりて」の始まりです。「時が来たりて」はポップで明るいミドル・ナンバーなので、A面の重々しさをぬぐい去るのには十分ですね。
前曲のフェイドアウトが消えきらないうちに「ブラック・マウンテン・サイド」のイントロのギターが入ってきます。短いインストゥルメンタル・ナンバーですが、ちょっと神秘的な空気が漂います。エキゾチックな雰囲気を出すために敢えてシタールを模して演奏しているギター、そして Viram Jasani が演奏しているタブラという北インドの太鼓のサウンドがその不思議な雰囲気を作り出しているんですね。
B-3 「コミュニケーション・ブレイクダウン」はA-1に次ぐ軽快なロック・ナンバー。こういう曲を散りばめておくことで、アルバムの流れを停滞させないようにしているのでしょう。ギターのリフもすぐに耳に残るし、またロバートの後ろで一緒に歌っているジミーのコーラスも元気いっぱいだし、ヒット・ポテンシャルの高い曲だと思います。後のハード・ロック・バンドやパンク・バンドに与えた影響も大きいでしょうね~。
B-4 「君から離れられない」で再びブルーズの世界へどっぷりと入っていきます。これまたウィリー・ディクソンの作ですね。アメリカのブルーズに憧れて演奏していたイギリスのロック・バンドは数多く存在していたでしょうが、ロバートの引っ張りに引っ張った粘っこいヴォーカルは、私の背筋を特にゾクゾクとさせてくれます。レッド・ツェッペリンを他のバンドとは明らかに一線を画した存在にしているのは、彼のヴォーカル力です。
ラストを飾るのは8分を超える大作「ハウ・メニー・モア・タイムズ」です。イントロはベースのリフが10小節続き、次にギターが同じリフで加わってユニゾンになります。リズムはスペインのボレロ風味。2分を過ぎると曲は雰囲気を変え、ギター・ソロが縦横無尽に飛び回るパートに入ります。3分過ぎにボレロのリズムが戻ってきて、さらにギター・ソロが続きます。3分36秒くらいでいったん音が途切れて、ちょっとエキゾチックなパートに入ります。エコーがかかったギターがスペイシーな音を奏で、ドラムスが主役に躍り出ます。5分半からはものすごくブルージーなパートに入ります。ここでもジョン・ボーナムのパワフルなドラムス・プレイがとても主張しています。ロバートのヴォーカルと掛け合いを演じるようなドラミングは聴き応えがありますね~! そして7分過ぎからラストまで最初のリズムとリフに戻って曲が終わります。ドライヴ感あふれるエンディングは、まるでライヴ・ステージのようですね。
Jake Holmes、Willie Dixon、Jimi Hendrix、Jeff Beck らから、エッセンスを抜き取ってきたようなアルバムです。きっとジミー・ペイジをはじめ、メンバーたちが好きなアーティストだったんでしょう。
全体的にロバート・プラントのヴォーカル力に注目して書いてしまう私ですが、実はこのバンドの肝は、「ジョン・ボーナムのドラムス」だと思っています。
ジミー・ペイジのギターもロバート・プラントのヴォーカルも強烈な個性を持っています。それらがバラバラにならないようにまとめ上げているのが、ジョン・ボーナムのドラミングのような気がするんですよね~。
このデビュー盤から解散まで4人のメンバーが変わらなかったのも、このバンドについて特筆すべきポイントですね。
開けてみると、中にも段ボールが。
引っ張り出してみると段ボール箱が3つ! この形は!!
ジャ~~~ン♪ 中身はこいつらでした~(^^)v 楽しみにしてたんだよね~♪
『Ⅰ』 を箱から取り出してみました。さらに立派な箱に収められていますね。
ビニールや帯を取り去ると、なかなか味わいのあるシックなデザインの箱であります。
『スーパー・デラックス・エディション』 の中身は!
① 豪華ブックレット
② プレス・キット
③ オリジナル・アルバムLP
④ オリジナル・アルバムCD
⑤ ライヴ・アット・ジ・オリンピアLP(2枚組)
⑥ ライヴ・アット・ジ・オリンピアCD
⑦ 限定番号付きのオリジナルLPジャケットの写真
⑧ 何やらダウンロードできるパスワードの付いたカード
試しにオリジナル・アルバムのCDをかけてみたんですが、音がイイッ♪
これはアナログの方も良いんだろうけれど、もったいなくて今でも聴けていません。
ジミー・ペイジ先生の戦略に乗ってみるのも悪くないなと思った瞬間でした(^^)
6コメント
2019.09.10 14:44
2019.09.10 13:09
2019.09.09 23:07